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吉卜力工作室动画纪念杂志

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吉卜力工作室动画纪念杂志 ◎鈴木敏夫/題字 目次 ジブリと児童文学 004 010 012 014 016 018 020 鈴木敏夫×宮崎吾朗×川上量生 スペシャルトーク なぜ、賛否両論だったのか? 今だから話せる『ハウル』と『ゲド』のこと 手嶌 葵インタビュー 吾朗監督のミューズが語る ジブリ作品とのシンパシー 柏木吉一郎×奥井 敦 対談 『ハウルの動く城』『ゲド戦記』 ブルーレイ制作秘話 きゃりーぱみゅぱみゅインタビュー ファン代表の声“私がジブリの世界を大好きな理由” 改めて考える『ハウルの動く城』『ゲド戦...
吉卜力工作室动画纪念杂志
◎鈴木敏夫/題字 目次 ジブリと児童文学 004 010 012 014 016 018 020 鈴木敏夫×宮崎吾朗×川上量生 スペシャルトーク なぜ、賛否両論だったのか? 今だから話せる『ハウル』と『ゲド』のこと 手嶌 葵インタビュー 吾朗監督のミューズが語る ジブリ作品とのシンパシー 柏木吉一郎×奥井 敦 対談 『ハウルの動く城』『ゲド戦記』 ブルーレイ制作秘話 きゃりーぱみゅぱみゅインタビュー ファン代の声“私がジブリの世界を大好きな理由” 改めて考える『ハウルの動く城』『ゲド戦記』の魅力 宮崎 駿の著書から読み解く 今、改めて確認したい児童文学の力、 そして気になる新作のこと 特別付録! 電子ジブリぴあ直筆しおり 2 3 ジブリと 児童文学 今回ブルーレイになった 『ハウルの動く城』と『ゲド戦記』は、 海外児童文学を原作にしたジブリ作品である。 文字で書いた文学と映像で描いた映画では 内容や人物の解釈、 表現にどんな違いがあるのだろう。 今だから話せるスタッフの裏話や 宮崎 駿監督が語る児童文学の魅力、 手嶌 葵による『ゲド戦記』の思い出、 きゃりーぱみゅぱみゅが語るジブリの魅力、 ブルーレイの制作秘話まで、 必読の内容満載で送る「電子ジブリぴあ」! 4 (スタジオジブリ プロデ ューサー見習い) 川上量生 '68年生まれ。 オンラインゲームの 会社としてドワンゴを創業。 代表取締役会長として活躍しながら、 現在はスタジオジブリでプロデューサー見習いをしている。●かわかみ・のぶお (映画監督) 宮崎吾朗 '67年生まれ。 三鷹の森ジブリ美術 館のデザインを手掛け、 館長として活躍後、 映画監督に。 '06年 『ゲド 戦記』 、 '11年夏 『コクリコ坂から』 を発表した。 ●みやざき・ごろう (スタジオジブリ プロデューサー) 鈴木敏夫 '48年生まれ。 徳間書店で 「アニ メージュ」 を創刊し、 宮崎 駿と出 会う。 その後、 スタジオジブリ設立に携わり、 現在は代表取締役プロデューサーを務める。●すずき・としお Toshio Suzuki Nobuo Kawakami Goro Miyazaki なぜ、賛否両論だったのか? 今だから話せる『ハウル』と『ゲド』のこと ジブリ作品のなかで、『ハウルの動く城』と『ゲド戦記』は賛否両論がはっきりと分かれた作品。 原作は児童文学のこの2作を、宮崎親子がそれぞれどのような想いを込めて描いていったのか。 今だから話せるスタッフ側の感想と裏話とは−−。 Special Talk Session 5 ブルーレイで分かった『ゲド戦記』 の美しさ  今回ブルーレイになった『ハウルの動く 城』はダイアナ ・ ウィン ・ ジョーンズの、 『ゲド戦記』はアーシュラ・K・ル=グウィンの小説を原作にしている。 『借りぐらしのアリエッティ』や三鷹の森ジブリ美術館の短編作品などもそうだが、スタジオジブリでは多くの児童文学を題材に作品を作ってきた。ただ面白いのは原作をそのままアニメーション化するのではなく、それぞれの作り手が原作の世界観を独自に解釈し、今の時代に向けて内容を再構成したり、あるいは自分自身にもっと引きつけることで、オリジナリティのあるジブリ映画へと姿を変えていることだろう。ここではスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーと『ゲド戦記』を監督した宮崎吾朗、さらにドワンゴの代表取締役会長で現在はスタジオジブリのプロデューサー見習いでもある川上量生の3人にブルーレイ化された『ハウル』と『ゲド』の魅力と、宮崎 駿&吾朗親子が それぞれ児童文学の世界と、どのように向き合ったのかを存分に語っていただいた。                  ● 川上   僕は今日『ハウル』と『ゲド』をブ ルーレイで見直して、意外や意外。 『ゲド』が面白かったんですよ(笑) 。 『ハウル』の場合は最初映画館で観て、そのときはイマイチだと思ったんですが、二度目にDVDで観て本当に感動したんです。それで ( 『ハウル』 は) 今回が三度目だったんですが、 『ゲド』に関しては半年前ジブリに見習いとして入ってからDVDで初めて観て、かなり腹が立つところがあって、面白くなかった (笑) 。それが今回見直して「結構いけるんじゃないか」という評価に変わったんです。ジブリ作品は観る人の思い入れがあって、自分の理想のジブリらしさというのを求めているところがある。それが無いと腹が立って「こんなのはジブリじゃない」ということになるんだけれど、やはりジブリ作品は二回観たほうがいいですよ。二回目には余計な期待がない分だけ、もっと違った面が見えてくる。僕は『ハウル』の場合、最初に観た時は戦争シーンがなかったのが欲求不満だったんです。でも二度目に観た ときはそのことは知っていますから、最初から諦めながら観たら、とても面白かったんです。それと『コクリコ坂から』を作っている時に、 『ゲド』に比べて美術が劣っているんじゃないかという議論がありましたよね。でも僕はDVDで『ゲド』を観て、「この美術って、汚いじゃん」と思ったんですよ。でも汚いのはDVDが原因だったと、今回ブルーレイを観てわかりました。 『ゲド』は砂漠や空のシーンなど、単色でちょっと色合いが変わるところが多い。それがDVDでは全部色が潰れていたんですよ。本当 は、メチャメチャ綺麗なんだって(笑) 。宮崎   前に『ゲド』のDVDをもらって、 夜中にひとりで観ようとしたら、色が凄くケバケバになっていて、これはダメだと思って観るのをやめました。鈴木   参考として言うと、それは数字に置 き換えると分かりやすい。ジブリの場合、映画ってデータで作るんです。そうすると『ハウル』にしろ『ゲド』にしろ、一本の映画にデータが三桁で入っている。でも普通のDVDは二層にしてもデータ量は 9.4ギ ガバイトに収めなくてはいけない。方やブルーレイは一層で 25ギガあるので二層だと 50ギガ入る。大雑把に言えば、5倍良くな るということなんです。だから『ゲド』に描かれた中間の背景色も、元の感じに近い形で表現できるようになっている。川上   細かく描いているものは、ブルーレ イでなければだめだということを発見しました。 『ゲド戦記』は綺麗じゃないですか。ジブリの中でも最高レベルだと思いますよ。背景のことで言ったら『ハウル』よりも綺麗でした。宮崎   それは多分、コントラストの強い絵 にしてあるからだと思います。黄色い砂漠に紫色の影だとか。あれってアブノーマルだから、普通のジブリ作品ではやらない。このときは美術監督が武重洋二さんで、 「好きにやって」 と言ったらああなったんです。鈴木   実は『ハウル』と『ゲド』の美術は、 同じ人がやっているんです。宮崎 駿とい う人は色の趣味がハッキリしていて、明快な色が好きなんです。例えばヨーロッパへ行くと、アルプスよりも北は空の色が青くないんですよ。青くなるのはアルプスを越えた南側なんです。武重さんは、そのアル ©2004 二馬力・GNDDDT ©2006 二馬力・GNDHDDT 6 プスの北側の空を一度でいいから表現したいと思っているけれど、宮崎 駿と組む と「ダメだ。青くしろ」と言われる。でも吾朗君が「いいよ」と言ったので、 『ゲド』ではそれをやっているんです。宮崎 駿の私情が見える 『ハウルの動く城』 !川上   世界観で言うと、僕は『ハウル』が 宮崎 駿作品の中で一番好きで、あの明る い感じがいいんです。でも観ると泣いてしまうんですね。それはなぜかと言うと、 「これはおとぎ話です。ファンタジーです。現実じゃないんです」というメッセージが作品全体から伝わってくるからなんです。じゃあ、ハウルがもしおとぎ話じゃないとするなら、この物語を現実に置き換えたらと考えたんですけれど。最初にソフィーがハウルに会いますよね。これは下町の冴えない女の子が身分違いのカッコいい人と出会って、ちょっと優しい言葉を掛けられたというくらいが本当の話だったと思うんですよ。ところがその子にとって、それは大きなことで、宝物のような自慢話だった。それでソフィーは見た目がおばあちゃんになって「この街に居られない」と行くあてのない旅に出る。これは本当の話だったら 姥捨て山ですよ。つまり山へ死にに行ったんだと。魔法じゃなく普通に年をとって老婆になった少女が姥捨て山で若いころにあったつまらない、でも大切にしていた思い出をなつかしんでいたのです。つまりそこで見たのは、マッチ売りの少女のような死の直前の幻です。自分が大切にしていた一番の思い出、それに続きがあるとすればどんな物語だったのか。その幻の話が、おとぎ話ではない『ハウル』の本当の話だったと思うんです。映画では、最後に戦争もいい加減に終わりますよね。今までのファンタジーだったらいろんな闘いがあって、少年の勇気が心を動かしたとか、愛の力に打たれたとか、 そういうことを延々とやる。その上で戦争終結へと向う。でもそんなことは現実にはない嘘だと。そう割り切って、ここではほんの数分で戦争終結の件を描いている。その結果「世界でこんなことがあったらいいよね」という純粋な願いが残ったと思うんです。これまでのファンタジーは「こうだったらいいよね」というみんなの願望を描いてきたけれど、それは嘘だと分かったし観ていて馬鹿馬鹿しくなっていた。でも『ハウル』はラストで「これはおとぎ話です」と割り切って説明をいい加減にしたことで、宮崎 駿監督が世の中 がこうあってほしいという願望だけが純粋 に伝わった。そこが、一番ショックを受けた部分です。また多分ソフィーは魔法で年をとったんじゃなくて、本当の話では最初から年をとっていたと思うんです。にもかかわらず恋愛をする。見かけは年寄りだけれど、 中身には若い部分が残っているんだって、 それに気付いてくれって強烈なメッセージですよね。だからこれは悲しい話ではないかと。そこにもショックを受けたんです。宮崎   川上さんが鋭いと思うのは、僕もこ れは老人同士の恋愛だと思って。ソフィーは外見こそおばあちゃんになるけれど、本来の姿は若い。要するに若いけれど年をとっている。ハウルは見かけが若いけれども、本当は荒地の魔女と同じくらいの年齢でしょう。荒地の魔女は魔法で外見を隠しているけれど、途中で本来の老いた自分になってしまう。つまり年寄りの三角関係だと思ったんです。これは作っている宮崎 駿の年齢と関係があると思うんですけれど、最初観た時に「随分脂っこい話だな」と感じたんです。そこまで年をとっても、こういうものをまだ持っているのかと愕然とした覚えがありますね。川上   何か情動を感じますよね。作品から 人間の感情の揺れ動きというか。宮崎   ええ、ですから宮崎 駿作品の中で 一番エロティックじゃないですか。その前後に彼が作ったものを考えると、年をとっていくことをどんな風に受け止めていくんだろうと。 それがテーマにあったのかなと。川上   ここでは年寄りの恋愛でも若者の恋 愛と、何ら変わりはないんだと。そういうテーマは入っていますよね?宮崎   鏡さえなければ、人間は 20歳を超え ると中身ってそれほど変わらないじゃない 生っぽくてイヤでした。 宮崎 駿が母親に 言い訳しているように見えたんです (宮崎) ©2004 二馬力・GNDDDT©2004 二馬力・GNDDDT 7 ですか。見た目さえ見なければ精神的には変わらないということを、宮崎 駿はやっ ているのかなって。 『ハウル』をやっているころ、 僕はジブリ美術館にいたんですが、館内のショップで 『ハウル』 のグッズを買っていくのは、中高年のおばさまなんです。何かわかるなと。川上   かつてあって欲しかった青春を重ね 合わせているんでしょうね。そういう悲しさがある。映画の中でハウルが、髪の色が変になって 「美しくなかったら意味が無い」というと、ソフィーは「私なんて美しいと言われたことがない」 と逆ギレしますよね。多分このやり取りって、作品の深いテーマに結びついていると思うんです。そこだけではなく、この映画にはキャラクターの本当の叫びが詰まっている。逆にストーリーが浮かび上がってくるものではないから、ファンタジーの体裁をとっているけれども、もっと心の動きを汲み取ったリアルな作品だと感じたんです。宮崎   ただ絵はゴージャスだし、やってい ることも派手だから、そのギャップがはなはだしくて。川上   豪華な舞台設定で、やっていること は凄く内面的。贅沢な映画ですよね。前に吾朗さんは「 『ハウル』は何をしたかったのか、まったく分からない」とイベントでおっしゃっていたことがありますけど?宮崎   宮崎 駿はそれまで、誰に向けて映 画を作るんだということをやってきたと思うんです。それがなくなったのが 『ハウル』だと僕は感じたんです。川上   これは私小説っぽいですよね。 宮崎  『千と千尋の神隠し』は知り合いの 10歳の女の子に向けて作っている。 でも 『ハ ウル』以降は今やっている新作にしても宮崎 駿は自分自身の何かを描いている、と いう風に変わってきていると思うんです。川上  『ハウル』に関しては、ソフィーが 宮崎さん自身という感じがしましたね。宮崎   いや、僕は自分の母親に言い訳して いる感じがしたんです。 要するにおばあちゃんになったソフィーに対して、自分がハウルになって「お婆ちゃんになっても好きだよ」と言っていると。だから『ハウル』という題材に、極端に私小説っぽいことを込めている気がしました。映画は原作が持っている感じとは、全然違うものになっていると思いますね。そういうことから言えば、これは若いときに観てもピンとこないかもしれない。年をとっていく実感のようなものがないと。川上さんのような受け止め方は、若いときに出来ないかもしれませんね。川上   そんなことはないですよ。今の子た ちは挫折の経験も早いから、 20代はいける んじゃないかな。それと宮崎さんが感情的にこれを作っていると感じたのは、お城を壊すシーンですね。このままじゃ、ハウルが殺されるといってソフィーがお城を壊す。それですぐ後に、ハウルと会いたいからって、お城を戻すんですよ。すると城が小さくなって復活する。 「結局、お前は何をやったんだ。何の意味もないだろう」 と。絶対彼女はB型だと思いました(笑) 。でもハウルのことが好きなんだから、そんな矛盾は許すという気になるんですけれど。こういう展開の唐突さも含めて、 『ハウル』が嫌いという人は周りに結構います。鈴木   その分かれ目は、お話としてのウェ ルメイドということでしょう。起承転結がきちんとあると。でも『ハウル』はつれづ な ぜ、 賛 否 両 論 だ っ た の か? 今 だ か ら 話 せ る『 ハ ウ ル 』と『 ゲ ド 』の こ と 鈴 木 敏 夫 × 宮 崎 吾 朗 × 川 上 量 生 Special Talk Session ©2004 二馬力・GNDDDT 8 れなるままに、今の心境を語ったような映画ですから。でも語っているひとつひとつには凄くリアリティがある。今自分が持っているものをすべてぶつけた。年をとるとはこういうことか、とかね。川上   だから、僕にとっては『ハウル』が 最高傑作なんです。ファンタジーという題材で、 こんなことを試みたということでも。鈴木   これまで映画は公的なもので、個人 を語るべきではないといっていた宮崎 駿 がね。あそこまで赤裸々に自分のことを語った映画はないんですよ。しかもそれを子供に観せようというんですから(笑) 。川上さんのように深く観てくれることで、作品の謎が解けてくる。一方で吾朗君は、そこに自分の親父を観ているわけだよね。息子としてそれは、どうなの?宮崎   生っぽくてイヤでしたね。生々しい ことを、勿体付けて凄い映像で描く。それをみんなに観せるのはどうだろうと。当時はそう感じましたけれど、これ以前と以後では作り方と主題が変わってきましたから、今では別の感想もありますね。川上   やはり今度のブルーレイで、みなさ んもう一度観るべき映画ですよ。鈴木   物語がどうのこうのと言って見逃し ていたら、もったいないと思うんですよ。そこに力点を置いていないんですから。 父と同じ構成案、 違う表現で生まれた 『ゲド戦記』川上   それに引き換え 『ゲド』 は…… (笑) 。 やはりストーリーが単純すぎますよ。半分くらいまでは面白かったのに、問題は後半のクモ様との戦いです。クモ様との戦いには勝ったけれど、それは崩れた世界のバランスとは関係ないわけです。じゃあ、あの戦いは何だったのかと。ちょっとハリウッド的に無理矢理最後の敵を作って終わらせた感じもして。これは吾朗さんの最初の監督作ですよね。絵コンテを鈴木さんが教えたというし、作品にも口出しをした。何か鈴木敏夫成分が 『ゲド』 は多いのかなと思ったんですけれど?鈴木   いや、作品には吾朗君が出ています よ。原作のどこをやったらアピールしやすいかとか企画の部分では考えますけれど、映画は監督が現場で作っていくものですから。僕は客観的に判断し難いけれども、好きなのは前半ですね。アレンとゲドの会話が面白いし、すごくいい。あのままふたりの会話だけですすめていったら、作品はもっと評判になったな。そういうことはだいぶ経ってからわかるんです。やっているときは、事件が起こらなきゃと思っていました。 前半ゲドに感情移入するのに、後半彼は戦わない。 怒りの一番でした (川上) な ぜ、 賛 否 両 論 だ っ た の か? 今 だ か ら 話 せ る『 ハ ウ ル 』と『 ゲ ド 』の こ と 鈴 木 敏 夫 × 宮 崎 吾 朗 × 川 上 量 生 Special Talk Session ©2006 二馬力・GNDHDDT 9 川上   クモ様のエピソードは、いらなかっ た気がしますね。鈴木   後になってそう思った。僕も共犯だ けれど、世界がおかしくなっている理由は何だって、 クモ様に集約させてね。 でもやっつければ、それで解決するのかということになるのは当然なんだから。川上   もったいないと思ったのは、前半を 観るとゲドに感情移入するんです。後半もピンチの時にはゲドが助けてくれると思っていたのに、クモ様との戦いの時にはずっとロープに縛られていて、解説者になっているんです。あれが怒りの一番でしたね。宮崎   今から思えば原作3巻目『さいはて の島へ』の、ずっと旅をしているところをやればよかったのかなと思いますけれど。最初は原作の第1巻『影との戦い』をやるという案もあったけど、何か違うなと。個人的には第2巻『こわれた腕環』が好きなんですが、ずっと洞窟の中で展開する物語なので映画にならないと言われて。まだ読んでいなかった第4巻『帰還』と外伝を読んでみると、4巻目ではゲドが魔法を使えなくなって、 ただのおじさんになっている。それもダメな人になっている彼が再生していく物語だったんです。そういうものに共感を覚えました。外伝の魔法の使い方を間違えて力を失った男の話とか、やたらと地 味な話に惹かれて、そういうものをやりたいと思うようになっていったんです。鈴木   映画が完成してから、宮崎 駿の感 想が面白かったんです。第一に「俺がやってもこうなった」と言いました。これは凄く大きな発言でしょう。彼は構成案のことを言っているんです。 『ゲド』のクレジットを見ればわかりますけれど、宮崎 駿が 昔描いた絵物語 『シュナの旅』 が原案になっている。これは『ゲド戦記』を宮崎 駿が 翻案したらこうなるという作品なんです。それもベースに使っているから、どうしても構成案は似てくる。問題は後半部分の表現で、そこに宮崎 駿は不満をもっていた。 吾朗君は親父の描いたものを見本や参考にして作っていたでしょう。でもそれを見た宮崎 駿としては、当然そこから進化してい なくてはいけない。そこへの不満があった。宮崎  『コクリコ坂から』が終わって思う のは、 『ゲド』をやってからじゃないとやはり『コクリコ』は作れなかったと思うんです。宮崎 駿と同じことをやろうとして もだめなんだと分かりましたから。鈴木  『ゲド』の宮崎 駿の感想は、 「俺が やってもこうなった。でも俺がやれば表現は違うぞ」ということに、 終始するんです。川上   それは観てみたいですね。同じ構成 案でも宮崎 駿さんの表現だったら、僕の あの映画に対するストーリーの不満はどうでも良くなるのか。鈴木   ゲドとテナーの再会なんかは、宮崎 駿だとすごいことになるわけですよ(笑) 。宮崎   おそらく肉感的なんですよね。いち いち官能的というか(笑) 。鈴木  「宮さんの画面は、いちいち官能的 だ」という高畑 勲の名言がありますけれ ど、吾朗君への不満はそこなんですよ。ジブリアニメというのは高畑、 宮崎を含めて、官能的というのがジブリの正統派なんです。でも吾朗君はサラッといくんだよね。川上   確かにそういうところはありますね。 鈴木   僕が予想する『ゲド』に対する宮崎 駿の一番の不満は、最後にアレンがテルーを抱きしめるでしょう。あの抱きしめ方が弱いの。もっと相手の骨が折れるようなくらいじゃないと。それで彼女のほうも抱き返さないといけないんだよ。分かっているんだろう、吾朗君だって。これは気持ちの上で出来るかと、表現として出来るかというふたつの問題があるんだよ。ただ今度の『コクリコ坂から』では、前回よりもそういう部分を強く表現しているよね。川上   最後にタグボートから俊君が海ちゃ んを抱き寄せる場面だとか。鈴木   抱きしめるシーンだけでも今回の映 画はいっぱいあって、それが『ゲド』とは違っている。吾朗君の中で変化が起きているんだね。映画には二種類あるんですよ。ストーリーが単純で表現が豊かな作品と、ストーリーが複雑で表現が単純なのと。 『ゲド』の前半部分はストーリーの展開はなくて、 ちょっとした表情の変化で魅せている。そこが良かったと思うんです。宮崎   前半は感覚だけで描いていて、後半 は一生懸命理屈で描いていました。鈴木   人物たちの登場の仕方も良かったか ら、それで僕は安心した。それでみんな出てきて、これからどうするとなってから。宮崎   どうにもならなくて終わればよかっ たんですよね(笑) 。でもあのときには、どうすればいいのか分からなかった。鈴木   展開は王道に乗っ取っているんだも ん。後半は油断したね。ただ最後のアレンとクモ様との戦いは、僕は好きだったけれど。次に吾朗君は本当に単純な物語をやったほうがいいと僕は思っていますよ。宮崎   僕も今度は、ストーリーが単純で表 現が豊かなものをやりたいと思っています。 宮崎 駿は 「俺がやってもこうなった。 でも表現は違うぞ」 と言っているんです (鈴木) ©2006 二馬力・GNDHDDT 10 手嶌 葵 1987年生まれ。鈴木敏夫と宮崎吾朗に 見出され、『ゲド戦記』で主題歌・挿入歌 の歌唱、ヒロインの声も務めることに。 デビュー曲『テルーの唄』はロングヒット を記録。映画『コクリコ坂から』では再び 主題歌を歌唱した。現在、コレクション アルバム『Collection Blue』が発売中。 NOW ON SALE 『Collection Blue』 YCCW-10162 2,625円 ●てしま・あおい 吾朗監督のミューズが語る ジブリ作品とのシンパシー 手嶌 葵が『ゲド戦記』で歌手としてデビューしたのは18歳の時。 宮崎吾朗監督の第2作『コクリコ坂から』を経て、 彼女はジブリ作品にどんなシンパシーを感じているのだろうか。 不安 だった 自分 の 歌 い 方 を、 ”これでいいんだよ “と 言 われた 気 がしたんです Aoi Teshima ◎インタビュー 11 最初はテルーの役をお断りしたんです 『ゲド戦記』の挿入歌『テルーの唄』で歌手デビューを飾り、ヒロイン・テルーの声も担当した手嶌 葵。彼女ははじめ、歌 手として鈴木敏夫プロデューサーと宮崎吾朗監督に見出された。「ジブリさんにお話をいただいてから『テルーの唄』を歌う段階になるまで、結構時間が短かったですね。作詞は吾朗さんで、作曲されたのは谷山浩子さんでした。最初に詞を読んで、とても綺麗な日本語が並べられていると感じました。その綺麗な日本語とちょっともの悲しいメロディがとても合っていて。ただ全体としては、何て悲しい唄なんだろうって(笑) 」  歌う人間はオーディションで決めると聞 かされていたが、すぐに彼女が選ばれた。程なくテルーの声もオファーされる。「最初、声の出演はお断りしたんです。演技の勉強もしていなかったですし、ジブリ作品はきちんとした俳優さんや声優さんを使って作られてきましたから、 『テルーの唄』で歌手デビューするからと言って、中途半端に私が参加していいのかなと思ったんです。でも吾朗さんが、私の唄を劇中に使うから、唄とテルーは同じ声で行きたいとおっしゃったので。それなら吾朗さんに力を貸してもらって一生懸命にやれば、どうにか大丈夫かなと思いました。アフレコは、はじめに仮の本読みを2日くらいかけてやった後、本番に臨みました。急に怒るとか真面目な感じで怒鳴ることがなかなか声で表現出来なくて、一言ずつ吾朗さんにアドバイスしてもらいました」   声を録音したときには、まだテルーの絵 が出来上がっていなかったので、脚本を頼りにキャラクターを読み取っていった。「テルーがどんな女の子なのか、彼女がどんなことを言えて何を言えていないのか。小説を読むように脚本と向き合っていました。おそらくテルーは頑固で、怖がっているのを見せたくないから強がっている女の子なんだろうって。私も高校生の時、大人に囲まれて『これでいいんだろうか?』と思いながら、言いたいことが言えないところがあったので。自分に似ている感じがしました」  またその役柄を理解 する上で、同時期に録音していたファーストアルバム『ゲド戦記歌集』が役に立った。「あの歌集はすべて吾朗さんが作詞をなさっていたので、映画の中に描かれていなかったテルーの気持ちが、歌集に書かれているんじゃないかと。それだけでなくアレンの歌もありましたから、テルーや彼女の周りの人たちの気持ちが何となく歌詞から分かって、アフレコにも活かせた気がします。 『ゲド戦記』は準備段階では緊張したんですけれど、 凄く楽しくて。作品を作り上げていく過程では、勉強にもなりました。私は楽しい感情を出すのが苦 手で、淡々と歌うタイプだったんです。それで周りはいいのかなと思ったこともありましたが、 『テルーの唄』で私の歌い方が認められた気がして嬉しかったです。 “それであなたはいいんだよ”と言ってもらえた気がして。だから『ゲド戦記』が初めての作品で本当に良かったですね」   実は彼女は読書家 で、小学校の時には図書委員長も務めたことがあった。 『ゲド戦記』の原作も中学のとき、 すでに読んでいたという。「元々両親が漫画を読ませない家庭だったので、家にあった少年少女文学集を、子供のときから読むのが好きでした。 『ピーターパン』や 『小公子』 が好きだったんですが、イギリスの児童文学が持つ、暗い雰囲気に惹かれていたんです。アーサー・ラッカムの写実的な挿絵が入った本などを読んでいて、童話やファンタジー小説は、単に明るさや優しさを描い た世界ではなく、怖くて暗い中に光が見える感じだと感覚的に思っていました。ですからジブリ作品でも『となりのトトロ』のように明るくてかわいいものよりも、 『ゲド戦記』は自分に合っているかなって。最初にお話をいただいたとき、原作のどこを映画にするのか興味がありました。映画と 原作は違うと思いましたけれど、テルーが立つ草原や、アレンが迷い込む混迷の町ホート・タウンなどは、自分がイメージしていた世界が鮮やかに表現されていると思いました。ジブリさんが児童文学を映画にするときは、夢もあるけれど、ちょっと怖い、観る側に言い聞かせる部分も入っていて、 その感覚は日本人的だと感じるんです。一方で海外の史跡や竜など欧米の雰囲気もミックスされていて、バランスが丁度いい感じがしますね」  そして今年、吾朗監督の『コクリコ坂か ら』では主題歌『さよならの夏』を歌った。「 『さよならの夏』は元々、大人の女性が恋人に向けた愛の歌です。でも私は、恋人ではなく大切な友達や家族に向けて歌うほうが、自分らしい愛の歌になると思いました。映画の内容も高校生の初々しい恋物語だし、主人公たちの両親の過去も描かれます。彼らは両親が愛し合って自分たちがいることを知る物語ですから、家族を思い浮かべながら歌えたことはよかったと思います」  自分から声優で参加することも志願した。 「せっかくの機会ですから“役をください。でも小さな役をお願いします”と言って、ヒロインの友人役をやらせてもらいました。 『ゲド戦記』のときは、吾朗さん助けてくださいという感じでしたが、今度は一緒に頑張りたいという気持ちで臨めました。久しぶりに会った吾朗さんは、凄く私に対して明るく話してくださいました! 話もたくさんして、すごく楽しく仕事をさせていただきました」  二度あることは三度ある。また宮崎吾朗 監督と組む機会があれば表現者としてさらに成長した彼女を見ることができるだろう。 ©2006 二馬力・GNDHDDT 12 スクリーンで観た作品の柔らかさを再現!『ハウルの動く城』 と 『ゲド戦記』 のブルーレイ化にあたってはスタジオジブリの映像部部長で、これまでジブリ作品の映像演出や撮影監督を務めてきた奥井 敦と、 ブルー レイの映像圧縮技術を開発したパナソニック・ハリウッド研究所の柏木吉一郎が連繋して作業した。ふたりに今回の2作品と、ジブリ映画をブルーレイ化することの難しさについて伺った。                  ● | | おふたりの作業の流れを教えてください。 奥井   私の作業は完成した映画のデータを すべて漏れがなく、柏木さんにお渡しすることです。大事なのは、どういうものを完成した映像として制作側が認識しているのかを、柏木さんに伝えることです。通常ジブリの場合は、ジブリの試写室で最終的なチェックをして作品を作り込みます。そこで完成したデータを試写して、 「これが完成画面です」と柏木さんに見ていただく。TVのフラットパネルとスクリーンでは見た印象が違いますから、試写室で上映した印象になるべく近づけてくださいというお願いをするんです。柏木   他社さんの場合は、ブルーレイ用の マスターとして制作した映像を、そのまま同じに見えるようにしてくださいと言われます。でもジブリさんは、スクリーンでの見た目を再現して欲しいということですから、さらに調整や味付けをしながら仕上げていく作業になります。スクリーン上での見た目を再現する上で一番重要なのは、 “柔らかさ”ですね。映像の柔らかさに対する (パナソニック ハリウッド研究所所長) 柏木吉一郎 奥井 敦 (スタジオジブリ 映像部部長) ブル レーイ制作秘話 映画館で見た作品の印象を、そのまま家庭へお届けする。 ブルーレイに対するジブリのこだわりを、制作担当者のおふたりに聞いた。 『ハウルの動く城』『ゲド戦記』 Yoshi ichiro Kashiwagi Atsushi Okui 13 こだわりがジブリさんは大きいですから、出来るだけ要望に応えようとしています。奥井   フラットパネルのTVはバックライ トで光を透過させた映像なんです。しかしスクリーンの場合は、光を当ててその反射光で映像を見ている。私たちはスクリーンで見ていただくために画を作り込んでいますから、フラットパネルで見ると硬く見えてしまうんです。柏木さんはスクリーンで見た時の柔らかさや風合いを再現するために、様々な調整をしてくれています。柏木   そのための特別なツールも開発しま した。また、我々が開発したエンコーダー(映像を圧縮データに変換するシステム)は、 多くの調整パラメーターを持っていて、それを変えることで画の調子も変わりますし、動きのスムーズさなども調整できるんです。ただ大変なのは、データを限られた 容量の中に収めなくてはいけないことです。 50ギガバイトの中に映画本編と映像特 典をすべて入れることになりますから、特典が増えれば増えるほどそちらにデータを取られることになる。本編に使える限られたデータレートの中で、スクリーンで見る場合と同じ質感や画の柔らかさを表現しなくてはいけませんから厳しいんですよ。また大前提として“圧縮ひずみ”を出さないということもありますし。| | 圧縮ひずみとはどういうものですか? 柏木   例えば映像にタイル上のブロックが 出てしまうひずみですとか、アニメーションの場合はイラスト線などのエッジの部分ですね。そこにノイズが乗って元の映像のようにすっきりした線でなくなってしまう。そういうひずみが出ないようにするのが大前提なんですが、今回の『ハウルの動く城』のように絵柄が細かくて動きが多いものだと、ひずみが出やすいんです。これをクリアするだけで大変でした。奥井  『ハウル』の場合はDVD化のとき にも苦労しています。今回も難しいことをお願いしていると思いましたけれど、クリアできると信じていました。柏木   また特典映像も盛り沢山ですか ら、本編に使えるデータレートが厳しくて(笑) 。ひずみが見えないようにするための ハードルは、これまでのジブリ作品の中でも一番高かったんじゃないかな。パーツもよく動くし、アニメーション特有のグラデーションも『ハウル』は多いですから。| | 『ゲド戦記』に関しては? 柏木   色合いが微妙でした。何も考えない で作業をすると少し色がずれてしまうような、微妙な色使いなんです。奥井  『ゲド戦記』は宮崎吾朗監督の第1 作だったこともありますし、原作の世界観を作り出すために色使いを含めて、作品作りの段階からスタッフも苦労していました。それで辿り着いたのが、あのくぐもったような色の世界なんです。柏木   データレートが下がることは、圧縮 によるちょっとした色ずれにも繋がるんです。その調整が難しかったですね。また 『ゲド戦記』は、それほど動きのある作品ではない。アニメーションでは、動いていないとひずみが分かりやすくなるんですよ。その調整にも気を使いました。DVDでは成し得なかったベストの映像を目指して| | ユーザーとしてはこれまでのDVDと 今回のブルーレイが、どれだけ違うのかが気になると思うんですが? 奥井   それは明らかに違いますね。ブルー レイではデジタル作品に限って言うと、ジブリの試写室で上映した状態が再現されていますから、私たちが見て欲しかった映像をそのままお届けできる。柏木   画素の密度だけでもブルーレイは、 DVDの6倍なんです。僕はDVDの規格開発の段階から参加していましたが、当時考えうる最高の仕様でDVDの規格は作られました。それでも、映像が持っているすべての情報を再現するには、ちょっと苦しかったんです。データレート的な問題もありましたし、圧縮技術も 10数年前でしたか ら、今と比べると見劣りします。ブルーレイになって圧縮の効率や性能ははるかに上がりましたし、ジブリさんの要望にも応えられていると思いますね。ただ特典映像が毎回多くて、限られたデータレートの中でどうすればすべてを再現できるのか。そこが悩みの種なんですけれど。特典と本編のデータレートが一番いいバランスになるように、いつも考えています。奥井   そのバランスは、最初にブルーレイ 化した『崖の上のポニョ』からの付き合いですから柏木さんにお任せして。特典が今の倍になると苦しいかもしれませんけれど、現在考えうる一番いい状態のソフトになっていると思います。 『ハウルの動く城』 は圧縮ひずみが、出やすい作品で大変でした (柏木) ジブリ試写室で見た映像になるべく近づけたいと思っています (奥井) 柏木さんの働く、パナソニック ハリウッド研究所 のブルーレイ・エンコーディングルームと、デジタ ルシアタ (ーDLP シネマ画質評価ルーム)。 14 きゃりーぱみゅぱみゅ 1993年生まれ。原宿で写真を撮られたことをキッカケに読 者モデルとして活動を始め、ブログなどでその独特な“かわ いい”世界観が女子中高生を中心に人気となる。'11年夏には ミニアルバム『もしもし原宿』で歌手デビュー。収録曲とな る『PONPONPON』は23ヵ国のiTunesで配信。世界から注 目を集める存在に。12月7日には新曲『つけまつける』が全 世界で配信スタート。1月11日(水)にCDがリリースされる。 ●きゃりーぱみゅぱみゅ 実はこの人も“ジブラー”だった! “私がジブリの世界を大好きな理由” モデルとして、歌手として、今、女子中高生の間で大人気の原宿系ガール、 きゃりーぱみゅぱみゅの世界観は、ジブリに影響を受けていた!? “ジブリが大好き”と語る彼女から、その理由を訊いた。 ジブリ 作品 がないと 日本人 は 生 きていけないと、 私 は 思 っていますよ Kyary Pamyu Pamyu ◎インタビュー 15 ハウルは超絶イケメンで、大好きなんです (笑)  ファッションモデルや歌手として活躍 し、 世界中にファンを持つ、 18歳のきゃりー ぱみゅぱみゅ。彼女は今年2月にジブリ作品の楽曲の中から自らが選曲したリミックスCDアルバム『きゃりーぱみゅぱみゅのジブリセット』をプロデュースするなど、自他共に認めるジブリ・ファンでもある。「暇が出来ると、今もジブリ映画のDVDを借りて観ています。 レンタル店に行くと、ついついジブリ作品コーナーに足が向いてしまうんです。好きな作品は何度も見返しますね。 『千と千尋の神隠し』には、特に思い入れがあります。初めて観たのは小学生の時なんですが、そのころ私はポニーテールにしていて“千尋に似てるね”と言われてたんです。実家の近くに“江戸東京たてもの園”という場所があって、そこにある古い銭湯の建物が、映画の中に出てくる湯婆婆がやっている湯屋のモデルだと知って、その建物に行きたくてよく行っていました。近所で宮崎 駿さんらしき人も、 何度か見かけたことがありますよ」  彼女の友達にもジブリが大好きな“ジブ ラー”は多く、作品の中身を話していて盛り上がることがあるという。「みんなで映画に出てくるセリフや名シーンを言い合ったりします。私の名シーンは『となりのトトロ』でサツキとメイがお父さんとお風呂に入っているとき、お父さんが突然笑い出して壊れる場面。あそこは子供のときに観て大好きで、思わず笑いました。キャラクターも面白いですよね。マニアックかもしれませんけれど『千と千尋の 神隠し』でエレベーターのところに出てくる大根の形をした、オシラ様という神様なんかかわいかったです。ジブリ映画はみんな大好きだと思うし、何と言っても音楽が最高に素敵だと思うんです。それでCDを作るとき、 “みんなは、どのジブリの曲が好きなんだろう ?”とブログに書いたら、 1500件くらいコメントが返ってきました。中には私も知らない曲があって、全部の曲を聴き直してみました。そのブログの人気投票の結果と、自分が好きな曲から選曲していったんです。誰もが好きなジブリの曲を、原宿系っぽくアレンジしたアルバムを作りたかったんですよ。みなさんの声では『風の谷のナウシカ』や『天空の城ラピュタ』の曲、 それと『耳をすませば』の『カントリーロード』 が、 人気が高かったですね」  自分で“脳内ファンタジー”なところが あると言う彼女は、ジブリの作品世界に同化したいという願望を持っているようだ。「ジブリ作品は何気ない日常からスタートして、あることがキッカケで不思議な世界観に引っ張られていくのが、私にとっては魅力なんです。自分でそういう世界の中に入りたいと思いますね。 『千と千尋』の世界はちょっときつそうですけれど、トトロには会ってみたいです。 子供のころに “まっくろくろすけ”がいそうな場所を探して、“出ておいで~”と叫んでみたこともありますよ。アルバムでもジャケ写を作るときに、どうしても『魔女の宅急便』のキキを自分で再現したかったんです。ただ黒髪にするとキキの残念なコスプレみたいになってしまうので(笑) 、金髪できゃりーらしさを出しながら、キキも強めに入れさせていただきました。本当にジブリの世界へ入 りたいですから、できればジブリランドみたいなテーマパークを作って欲しいです。そうしたらいろんな体験ができて、より作品が楽しめると思うんです」  今回ブルーレイになる 『ハウルの動く城』 は、彼女が好きなジブリ作品のひとつ。ハウルの見た目も魅力なのだとか。「ハウルって超絶イケメンだと思って (笑) 。友達と“ジブリ作品の中で、誰と付き合いたいか”という話になったとき、みんなが“ハウル”と言うし。性格的にも今はツンデレが好きな子が多いので、ああいうタイプがいいと思うんじゃないですかね。それと私は、おばあちゃんがメッチャ好きなんです。映画の中に出てくる荒地の魔女が、最初は悪いんですけれど途中で本当の姿になったとき、そのおばあちゃんぶりが凄くかわいくて癒されました。ソフィーも本当に優しくて、うちのおばあちゃんに似ているところがあると思いました。だから自分のおばあちゃんと重ねて見ちゃいましたね。この映画はしゃべる炎のカルシファーも印象的だったし、映像が凄く綺麗です。最終的にハッピーエンドというのも気持ちがいいんですよね」 『ハウルの動く城』はダイアナ・ウィン・ジョーンズの児童文学を映画化したもの。ではファンタジー好きなきゃりーぱみゅぱみゅは子供のころ、どんな児童文学を読んできたのだろうか? 「グリム童話なんかは、一通り読みました。原話を読むと、けっこう残酷だなと思いましたね。それと私は、 絵本が好きなんです。読んでいて楽しいし、気分がほっこりしますから今も読みますよ。 『ぐりとぐら』なんかを好きで読んでいました」   話を聞いていて、彼女は絵から様々な感 情を受け取ることが多い感じがした。その彼女がジブリ作品の感想として何度も言ったのは“素朴な絵”というフレーズである。「特に日本を舞台にした作品は、観ていてしみじみします。主人公の顔立ちも素朴だし、あの絵のタッチが好きなんです。だから『崖の上のポニョ』で、また全部手描きになりましたよね。私はああいう風に一枚一枚手で描いているタッチのほうが好きだから、とても嬉しかったです。今は3DのCGアニメーションが多くて、それはそれで観やすいし面白いですけれども、ジブリが描く素朴な少女の顔立ちなんかは3DCGでは表現できないと思うんです。 また 『ポニョ』では繊細な波の感じとか、波の上を走ってくるポニョとか、その表現には感動しました。だからジブリ作品は絶対にこれからも手描きであって欲しいと思います。そういう絵のタッチが、私たち 10代を含め たどの世代にも愛されていると思うし、ジブリ作品がないと日本人は生きていけないと私は思っているんですよ(笑) 」  ジブリの楽曲のCDアルバムを作った彼 女には、次なる野望としてぜひやってみたいことがあるらしい。「ジブリ作品の声優をやってみたいんです。キャラクターの少女になった気持ちで声優をやったら、自分もその世界に入れるんじゃないかと思うので。それはぜひ、いつか叶えてみたい夢ですね」  生まれたときからジブリ作品が身近に あった彼女にとって、ジブリが描く世界は単なる絵空事ではなく、生活や生きていることと密着しているように感じた。それもまた彼女にとっての、リアルなのだろう。 16 『ハウルの動く城』を作っているとき、鈴木敏夫プロデューサーは「今度の宮崎 駿 は進化している」と言っていた。表面的に見てもこれは、ジブリのタブーを破った映画である。 90歳の老女ソフィーを主人公に したこともそうだし、魔法を使った“何でも在り”の世界を描いていることもそうだ。少年少女が、限られた自分たちの力で何かを獲得したり実現するそれまでのジブリ作品とは、ルックスが明らかに違っている。ただ見直してもらえば、宮崎 駿の進 化の本質はそういう表面的な部分ではないことがわかるはず。宮崎監督はここで直球の恋愛映画に挑戦した。それまで主人公カップルの気持ちが“好き”から“愛している”に変わる青春映画は多々あったが、ソフィーとハウルのように“愛している”で全編が貫かれたものはなかった。また多くの恋愛小説、恋愛映画がその渦中にいる人間の心情告白を描くものであるのに対し、 宮崎監督は端から見れば滑稽だったり、愚かにも思える恋愛中の男女の行動や言動を、そのままアニメーションで表現している。つまり恋愛を説明ではなく、実感として描いたのだ。 また恋愛映画のほとんどが、愛の成就や破綻に向けて物語が展開し、登場人物はその段取りに行動が絡め取られていくのに対し、ソフィーやハウルはもっと自由に自分の愛と向き合っている。だからこそこの作品は、ひとつひとつのシークエンスが味わい深い。公開時のポスターには「ふたりが暮らした。 」というコピーがつけられていたが、もっと素直に言えばこれは、実写映画でも描いたことのない「ふたりが愛した。 」ことの真実を、アニメーションによって表現した大いなる実験作なのである。 『ハウルの動く城』 “恋愛とは何か”を絵で表現した、宮崎 駿の実験作 宮崎 駿監督が絢爛たる絵の中に描き出す、惹かれあう男女の真実。 ブルーレイでは、細密な表現も見事に再現されている。 父親の帽子店で働く18歳のソフィーは、あ る日、荒地の魔女に呪いをかけられ90歳の おばあちゃんになってしまう。居場所がな くなり街を出た彼女は魔法使いのハウルと 出会い、共同生活を始めることに……。 脚本・監督:宮崎 駿 プロデューサー:鈴木敏夫 声の出演:倍賞千恵子、木村拓哉、美輪明宏、 我修院達也、神木隆之介、大泉 洋 公開日:2004年11月20日 ©2004 二馬力・GNDDDT STORT STAFF 改めて考える『ハウルの動く城』 『ゲド戦記』の魅力 宮崎 駿と宮崎吾朗。ふたりの監督は、自分たちの映画にどんな思いを込めたのか。 その作品をもう一度鑑賞することで見えてくる新たなる魅力とは? 17 『ゲド戦記』は均衡(バランス)が崩れた世界を舞台に、混沌の中で生きる人々の現実を描いた作品である。死の影を背負った自分のダークサイドに怯えるアレンは、世界の変化に政治によって立ち向かおうとする父の国王を殺して国を飛び出し、魔法使いの大賢人ハイタカ(ゲド)は、均衡が崩れた原因を探ろうとするが、答えを見つけることは出来ない。暗い過去を持つ少女テルーは、他人との交流を出来うる限り遮断し、孤立す
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