32 桃核承気湯

肩こり めまい 耳鳴 腰痛 便秘 月経不順・ 月経困難症 頭痛 のぼせ 桃核承気湯は中国・後漢時代に張仲景が著した「傷寒論」に記載された処方です。桃核とは桃 の種子を含む内果皮をいい、承気とは気をめぐらすという意味で、腸の機能を活発にして排便 を促すことを指しています。主に体力が充実した成人女性の月経周期に関連して起こるさまざ まな精神神経症状に対して用いられる薬です。 桃核承気湯 とは 使用目標 （証） 便秘があり、いらいら、のぼせがある人の月経不順、月経困難症、精神神経症状などに用いる。 急迫性の精神神経症状が著しい場合によい。頭痛、肩こり、めまい、不眠などを伴うことがあ る。 【脈証】沈実 基礎・臨床・ EBM 　　使用目標は似ているが、精神神経症状は少なく、右下腹部の抵抗と圧痛があ る場合によい。 　体力中等度で、便秘がなく、精神神経症状、下腹部の抵抗・圧痛が桃核承気湯 ほど強くない場合によい 　月経異常、頭痛、めまいなどは似ているが、虚弱体質で、四肢冷感、むくみ、 貧血があり、臍下部の抵抗・圧痛がより軽度の場合によい。 使用目標は似ているが、心下部に抵抗や圧痛があり、下腹部膨満感がある場合に よい。 参考文献：１）「漢方製剤　活用の手引き」（臨床情報センター）、２）　「呼吸器疾患漢方治療のてびき」（協和企画）、 　　　　　「ファーストチョイスの漢方薬」（南山堂）、「漢方診療のレッスン」（金原出版）、ほか ・大黄牡丹皮湯 ・桂枝茯苓丸 ・当帰　薬散 ・通導散 効能又は効果 比較的体力があり、のぼせて便秘しがちなものの次の諸症：月経不順、月経困難症、月経時や 産後の精神不安、腰痛、便秘、高血圧の随伴症状（頭痛、めまい、肩こり） （上記はツムラ医療用漢方製剤による） 投与時の注意 甘草を含むので、偽アルドステロン症、ミオパシー、横紋筋融解症の発現に注意する。 カンゾウ含有製剤、グリチルリチン酸及びその塩類を含有する製剤との併用注意。 無水ボウショウを含むので、治療上食塩制限が必要な患者に継続投与する場合は注意する。 卵巣機能不全、月経困難症、月経時や産後の精神不安、帯下、更年期障害、子宮内膜症、骨盤 内うっ血症候群、骨盤腹膜炎、高血圧の随伴症状（頭痛、めまい、肩こり）、動脈硬化症、高脂 血症、便秘症、痔核、腰痛症、打撲症、肝斑（しみ）、湿疹、尋常性　瘡、不安神経症、ヒステ リー、自律神経失調症、坐骨神経痛、尿道狭窄症、前立腺肥大症 とう　　 かく　 じょう　　き　　 とう 監修：佐藤 弘・木村 容子（東京女子医科大学東洋医学研究所） 応用疾患・ 症状　※１） ●いらいら ●不眠・不安 32 文献：渡辺一郎．日本東洋医学雑誌．1995,45（3）,p.557． 山本泉．漢方診療．1994,13（10）,p.22． 　　　井上雅晴．日本東洋医学雑誌．1992,42（4）,p.415. 桃核承気湯 桃仁　桂皮　大黄　甘草　芒硝 類似処方の使い分け ・月経困難症、過多月経、更年期障害の改善を期待できる。 ・便秘を伴う炎症性皮膚疾患（　瘡等）の改善を期待できる。 ・乳腺症の乳房痛、乳腺腫瘤への有効性が期待できる。 【虚　実】 虚実 やや実 中間 やや虚 腹証 ??? ? ? ? ? ?? ? ? ? ? ??? ? ? ??? ? 腹力中等度～強 【気血水】 気逆 　血於